2020-02-12から1日間の記事一覧

美徳のよろめき 三島由紀夫

5 いきなり慎しみのない話題からはじめることはどうかと思われるが、倉越夫人はまだ二十八歳でありながら、まことに官能の天賦にめぐまれていた。 9 節子は二人の個体が、あるとき、唇の軽い接触だけで触れ合って、その後、何事もなくお互いに離れ離れに生き…